本日の教育厚生常任委員会では、今年度の請願第1号「ゆたかな学びの実現・教職員定数改善・義務教育費国庫負担制度負担率の引き上げをはかるための2023年度政府予算に係る意見書採択の請願」について審査しました。
この請願はタイトルこそ違うものの、毎年、岩手県教職員組合県南支部から出されるものです。これまでは教職員の定数改善と義務教育費国庫負担割合を3分の1から2分の1に戻すことが請願項目でした。義務教育費国庫負担割合についてはともかく、教育現場に求められるものが多様化し、先生方の負担も年々増大していることから、令和2年度までは賛成の立場を取ってきました。
それが令和3年度の請願からは、教室編成の基準が小学校は35人に変わった直後に「さらなる少人数学級の実現」を求める項目が加わったため(岩手県は総額裁量制の中で既に35人学級を達成しています)、「制度改正直後に次の改正を求めるのは現実的ではない」「さらなる少人数の定義が不明確」「奥州市は学校再編の真っ只中であり、さらなる少人数学級を求めることは、再編計画に多大な影響を及ぼす」との判断から反対に回りました。
今年度も同様の請願内容だったのですが、今全国的に課題となっているのは教員の数が不足しているということです。「定数を改善しよう」という話ではなく、そもそも「定数を満たしていない」ということが次々と明らかになっています。それも4月に学校が始まる段階で、2割の学校で先生が足りない。そのために、臨時・非常勤の先生が見つからない場合は本来は担任を持たない役職の先生たちが担任を持つことで補っている、というのが今の現状です。
「数が足りないなら、試験の合格者を増やせばいいのでは?」とお思いになるかと思います。そこで岩手県の話をすると昨年実施した試験の合格者は276名でした。平成25年(2012)実施の際は200名でしたから、大幅に増えています。平成31年は340名でした。定年退職なさる先生が多いですので、それを考慮するとそれでも採用数は少ないのかもしれませんが、注目すべきは倍率です。昨年の倍率は3.7倍、平成25年は8.8倍でした。こうした倍率の低下状況をみると、闇雲に数を増やしても…と私は考えます。
そうした中で「さらなる少人数学級の実現=教室の数をもっと増やす」「定数の改善」を求めることは、現実離れしているように私は感じました。先生不足の改善・働き方改革を進めるのなら、もっと直接的な手段として、お金が全てというわけではありませんが、俗に定額働かせ放題と言われている「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法(給特法)」の改正を求めることの方が重要ではないでしょうか。
教育のICT化がようやく奥州市でも進み始めましたが、授業内容だけではなくツールを使いこなすことで業務の効率化も図ることができます。働き方改革を進めるのなら、そうした自助努力も必要なのではないでしょうか。「圧倒的にマンパワーが足りない」という現場の声は理解しますが、それをしないまま、ただただ先生の数を増やしても、結局は潰れていく人が増えていくだけだと私は思います。
こうした観点から、今回もこの請願には反対いたしました。