「可燃ごみの有料化」をテーマに先進地である東京都武蔵野市を視察してきました。
「可燃ごみの有料化」については岩手県内では北上市だけが導入しておりますが、奥州市でもその導入に向けて調査・検討が始まっております。
「可燃ごみの有料化」と聞くと、「奥州市のごみ袋って、とっくの昔に有料化されてるじゃん!」と思われるのでしょうが、「可燃ごみの有料化」と「ごみ袋の有料化」は、似ているように見えて全く違うんです。
「ごみ袋の有料化」とは、袋の実費が有料化されて販売されていることです。以前はどんな袋に入れて捨てても良かったものが、指定された規格で作られた袋を買って、それに入れて捨てることになったことを言います。
一方で「可燃ごみの有料化」とは、ごみの処理費用が袋代に上乗せして販売されることを言います。上乗せ分は業者から市に納められます。
ごみの処理費用は既に住民税などから徴収されており、自治体による基本的な行政サービスに含まれている、というのが従来の考え方です。それが時代の変化とともに、財政的な事情や住民税を納めない住民が増えてきていることなどから、「ごみの処理費用を別に徴収しよう」というのが「ごみ(処理)の有料化」です。
前述のように岩手県内では北上市だけですが、全国的に導入する自治体は増えてきております。とはいうものの、「ごみ処理費用は既に徴収されている」という考えも根強く、市議会としてもより深く調査・議論する必要がある、との考えから今回視察のテーマに取り上げました。
全国に先駆けてごみ処理の有料化を進めた武蔵野市のですが、今では住民のごみ処理に対する満足度は非常に高くなっており、「昔に比べて街がきれいになった」という声が聞こえるほどだそうです。武蔵野市では、有料化を進めると同時に、個別回収にも取り組み、それも可燃ごみだけではなく、不燃ごみや粗大ごみ、資源ごみも同様にしているとのことでした。
そもそもごみ処理、環境に対する意識が高い地域であり、単に有料化を導入するだけではなく、それまでの間に市民団体を中心にごみそのものの減量化にも取り組んできていた、という背景もあるようです。
実は、武蔵野市市役所の道路を挟んで隣には焼却施設があります。武蔵野市は住宅密集地ですが、そのど真ん中に、いわゆる「迷惑施設」と呼ばれる焼却炉が存在しているわけです。ところが、この施設は迷惑施設などではなく、むしろ「自慢の宝である」と誇っておられました。性能はもちろん、「開かれた焼却施設」として最初から公開することを前提に設計され、また、街の景観を壊さないような外観にもなっています。この施設の中庭は市民の方がピクニックやイベントができるように整備され、その横には運動場、それを挟んですぐにマンションが建ち並ぶなど、私には考えられない光景が広がっていました。
今回の視察では、「ごみ処理の有料化は目的ではなく、手段。まずはどこまでごみを減らすことができるのか。」「行政や議会だけで考えるのではなく、市民と共に考えていきたい」そういった思いを強く抱きました。